龍王戦レガシー準々決勝
小宮山 秀貴(埼玉) vs. 清水 朗尋(埼玉)

By Naoaki Umesaki


準々決勝、第1番テーブルの試合は古くからお互いに埼玉地区でマジックを楽しみ「昔から凄く仲が良いんだ」と語りあう友人同士のマッチアップとなった。

小宮山の使用デッキは、『カナディアンスレッショルド』。
クロックパーミッションデッキ『スレッショルド』の亜種といえるデッキなのだが、普通の『スレッショルド』とは違いメインから《不毛の大地/Wasteland》《もみ消し/Stifle》が4枚フル搭載されており、相手の土地を攻めるギミックが搭載されている。

現在のレガシー環境において有力デッキの一つと言われている『Teamアメリカ』もそうなのだが、強力カードで溢れかえるレガシーの環境において、ただカウンターしてるだけでは相手の攻めを捌ききれないため、相手の土地を攻め妨害しながらカウンターしてゆくという発想から生まれたデッキだ。

対する、清水の使用デッキは『赤単ゴブリン』。
レガシーにおける『ゴブリン』は、環境にある多色土地の強力さもあり、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》などの強力カードをタッチするために1色タッチするチューンが多いのだが、清水の『ゴブリン』は赤単にして《リシャーダの港/Rishadan Port》《不毛の大地/Wasteland》をフル搭載して相手の土地を攻めるというチューンになっている。

試合前の取材で「今日のデッキ、対戦相手の小宮山に貸してもらったんですよ。」と教えてくれる清水。どうやら、小宮山は相手の土地を攻めるのが好きなようだ。

そして「そうなんだよ、相手デッキの中身を知ってるから、自分が厳しい試合になるのが最初から分かっててキツいんだよね」と続く小宮山に、まるでコントの一幕かのように「いやいや、僕のほうがキツいっすよ」と清水が続き、小宮山も「いやいや僕が」と続く。


試合開始前に握手

譲り合う精神は美しいが、コントが長くなってきたので、ゲームを開始して貰うようお願いすると、お互いの健闘を祈る握手からゲームが始まった。
美しい友情から、どんな熱戦が繰り広げられるのだろうか。

Game1


グールの人
ダイスロールの結果、先攻をとったのは小宮山。
勢いよく「バーン」と効果音付きでマリガンするのだが、マリガン後の手札も芳しくなかったようで、無言でダブルマリガンを選択してのスタートとなった。

《Volcanic Island》をセットするのみで第1ターンを終える小宮山に対して、清水の第1ターンは《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》プレイという絶好のスタート。

この《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》に対する小宮山の対処手段はなく、《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》の能力によって清水の手札から《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》や《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》が場に登場する。
ダブルマリガンの相手にはこれだけでも十分かのように思えるだが、清水は《不毛の大地/Wasteland》で小宮山の《Volcanic Island》を破壊した上で、《リシャーダの港/Rishadan Port》で小宮山の《Tropical Island》もロック!

「まぁ、どの環境もマリガン地獄と土地事故は仕方ないよね」と語ると、小宮山は投了を宣言した。

小宮山 0-1 清水

Game2


清水が《モグの狂信者/Mogg Fanatic》、小宮山はフェッチランド起動から《タルモゴイフ/Tarmogoyf》というお互いのファーストアクション。

続いて清水が先ほどのゲームで大活躍だった《リシャーダの港/Rishadan Port》をセットすると、小宮山はすぐさま《不毛の大地/Wasteland》セットから能力即起動で叩き割り、清水もお返しとばかりにセットから能力即起動の《不毛の大地》で小宮山の《Tropical Island》を破壊と続く。

息詰まる土地を巡る攻防で少し険悪な空気になった後、清水は《霊気の薬瓶/AEther Vial》と仕掛けるのだが、小宮山は《渦まく知識/Brainstorm》でライブラリーを掘り進んで《三角エイの捕食者/Trygon Predator》をプレイ。

噛み合い良く展開した《三角エイの捕食者》によって、小宮山は無事《霊気の薬瓶》を破壊することに成功するのだが、返すターンに清水の場に《月の大魔術師/Magus of the Moon》が登場。
小宮山のデッキは多色デッキであり、現在場に出ている土地も《Volcanic Island》2枚・《Tropical Island》と突き刺さる。

…と思いきや、すぐさま小宮山はこの《月の大魔術師》を《稲妻/Lightning Bolt》で除去。
小宮山にとって良い噛み合いとなる展開が続き試合の流れを掴むと、【4/5】にまで成長した《タルモゴイフ/Tarmogoyf》が火を吹き始め、続けてスレッショルドで【3/3】となっている《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》を場に追加。

清水も《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を場に追加するのだが、これではサイズで上回る小宮山のビートダウンを止めることは出来ず。
土地フルタップでプレイした《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》が《Force of Will》でカウンターされると、清水は投了。

小宮山 1-1 清水

空き缶道場主

Game3
第1ゲームを不運にもダブルマリガンスタートで負け、小宮山は「どの環境もマリガンと事故は仕方がない」と語ったが、今度はこの言葉が清水に襲いかかり、不運にもトリプルマリガンでのスタートとなってしまう。

そんな清水だが、第1ターンのアクションは《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》と第1ゲームの良い展開を彷彿とさせるもの。

『もしかして?』

ギャラリーは何かを感じはじめていたが、残念ながら小宮山の手札からは《Force of Will》がポロリ。

清水 「視聴率を考えて下さい(笑)」

小宮山は《渦まく知識/Brainstorm》《思案/Ponder》とドローを進めて、《不毛の大地》で清水の土地を破壊してからの《タルモゴイフ/Tarmogoyf》召喚で勝負あり!

小宮山 2-1 清水
 
 
清水 「最後のゲームは不運な事故でしたけど、サイドから入れる有効なカードがあまり無かったから、どちらにしろキツかったですね」
ギャラリー 「何か他に有効なカードをサイドボードにとって無かったの?」
清水 「朝、サイドボード考えてる時に《発展の代価/Price of Progress》と《月の大魔術師》で迷って、後者にしたんですけど選択をミスったかも。」
小宮山 「ふふふ。 実は、試合は始まる前から決まっていたんですよ。」
ギャラリー 「ざわざわ、ざわざわ…」
小宮山 「そもそも、清水のデッキって誰のデッキだと思います?」
ギャラリー 「……え?」
清水 「そういえば、大会前にサイドボードを考えている時も、やけに親切に相談に乗ってくれていたような… ハッ!?(笑)」
小宮山 「ふふふ…(笑」

小宮山がもし、最初から清水と対戦することを想定して、何かが仕組まれていたとしたら…?

『裏切られた友情』

いや、試合前あんなにも清々しい拍手をして健闘を祈りあった友人が、そんなことをするはずがない。
清水はそう自分に言い聞かせ、喉まで出かかった台詞を飲み込み、無言のまま席を立った。

事の真相は不明だが、どうやらこの遺恨は尾を引きそうだ。

しーゆーねくすとたーん(笑)
 
 
Result : 小宮山 秀貴 準決勝進出!


しーゆーねくすとかばれっじ。

TOPに戻る場合はTOP絵をクリックしてください。

inserted by FC2 system